公式は覚えた。
問題集もやった。
それなのに、少し問題の形が変わると、どの公式を使えばいいのか分からなくなる。
数学を勉強していると、こんなことがあります。
このとき、「まだ公式を覚えきれていないんだ」と考えて、もう一度公式を暗記し直す人もいるでしょう。
もちろん、本当に公式を覚えていないこともあります。
ただ、公式を言えるのに問題では使えないのであれば、足りないのは暗記量ではないかもしれません。
「公式を覚えている」と「必要な場面で公式を使える」の間には、いくつかの段階があります。
今回は、そのどこで止まっているのかを確認してみます。
まず、公式を一つだけ選んでください
たくさんの公式を確認する必要はありません。
今勉強している範囲から、「覚えたはずなのに、問題ではうまく使えない」と感じる公式を一つ選んでください。
そして、次のことを順番に考えてみます。
- 公式を何も見ずに書けるか
- 式に出てくる文字や数字が何を表しているか説明できるか
- その公式が何を求めるためのものか説明できるか
- どんな問題で使えそうか、自分で例を挙げられるか
- 実際の問題を見て、その公式を使うと判断できるか
全部できる必要はありません。
どこから答えにくくなったかを見つけることが、今回の目的です。
公式を書けないなら、まずは覚えるところから
何も見ずに公式を書けないのであれば、まず覚える必要があります。
ここでは、無理に難しく考える必要はありません。
数学では、覚えておいた方がよいこともあります。
ただし、公式を何度も書いて言えるようになったところで、勉強を終わらせないことが大切です。
なぜなら、テストで問われるのは「この公式を書いてください」とは限らないからです。
多くの場合は問題を読んで、自分で必要な考え方を選ぶことになります。
公式は言える。でも、その意味を説明できますか?
次に、その公式を誰かに説明するつもりで見てみます。
たとえば、式の中に文字があれば、
「この文字は何を表している?」
「この数字はなぜここにある?」
「この式を使うと何が分かる?」
と自分に聞いてみます。
公式そのものは言えても、ここで急に説明しにくくなることがあります。
それなら、「覚えていない」のではなく、公式と意味がまだ十分につながっていない可能性があります。
「どうしてこの公式になる?」まで考えてみる
余裕があれば、その公式がどのように出てきたのかも考えてみましょう。
教科書を戻って確認しても構いません。
ただし、すべての公式について、毎回きれいに導出できなければならないという意味ではありません。
学習している内容や目的によっては、まず公式を使って問題を解きながら理解した方が進みやすい場合もあります。
大切なのは、
「これは覚えるものだから」で思考を止めないことです。
「なぜこうなるんだろう?」
「前に習った何とつながっているんだろう?」
そう考えるだけでも、公式は単独の記号ではなくなっていきます。
意味が分かっても、まだ問題で使えないことがある
ここが大事なところです。
公式の意味を説明できても、問題になると使えない場合があります。
なぜでしょうか。
問題には普通、
「この公式を使いなさい」
とは書かれていません。
問題文や図から必要な情報を見つけて、「これはあの考え方が使えそうだ」と自分で判断する必要があります。
つまり、公式を使うためには、公式そのものだけでなく、「どんな状況なら使えるのか」も分かっている必要があります。
問題文と公式をつなげてみる
ここで、実際に一つ試してみましょう。
その公式を使う問題を、教科書や問題集から一問選びます。
まだ解かなくて構いません。
先に問題文を見て、
「この問題のどの部分を見て、この公式が使えると思ったのか」
を言葉にしてみてください。
ここを説明できなければ、公式を覚えていても、問題と公式を結びつける部分で止まっている可能性があります。
反対に、理由を説明できるなら、実際に解いてみます。
これだけでも、単に「公式を覚えたかどうか」を確認するより、自分がどこまで理解しているかが見えやすくなります。
誰かに説明するつもりで解くと、見え方が変わる
もう一つ試してほしいことがあります。
問題を解くときに、「あとで誰かに説明する」と思って解いてみてください。
実際に説明する相手がいなくても構いません。
自分だけが分かればいいと思って解いていると、途中の考えを飛ばしてしまうことがあります。
ところが、人に説明しようとすると、
「なぜここでこの式を使った?」
「この途中式を飛ばしたら伝わらないかもしれない」
「もっと分かりやすい方法はないか?」
「どこで考え方が変わった?」
と、内容そのものを見るようになります。
これは、きれいな説明文を書く練習ではありません。
自分の理解の途中にある穴を見つけるための方法です。
説明できない=理解していない、とは限らない
ただし、ここには注意も必要です。
うまく言葉にできないからといって、すぐに「理解できていない」と決める必要はありません。
頭の中では分かっていても、説明すること自体に慣れていない場合もあります。
反対に、説明は上手でも、実際に自分で問題を解くと止まることもあります。
だから、説明できるかどうかだけで判断するのではなく、
説明してみる → 実際に解く → どこで止まったか確認する
ところまで行います。
説明はゴールではなく、理解を確認するための一つの道具です。
「何問解いたか」だけを増やさない
公式が使えないと、似た問題をたくさん解こうとすることがあります。
反復が必要な場面はもちろんあります。
ただ、使う理由が分からないまま同じ形の問題だけを繰り返すと、
「この形ならこの公式」
という組み合わせだけを覚えてしまうことがあります。
それでも同じ形の問題なら解けます。
しかし、数字や聞かれ方、問題文の表現が変わったときに、また手が止まるかもしれません。
そんなときは問題数を増やす前に、一問について、
- なぜこの公式を使ったのか
- 別の考え方はできないか
- 条件が一つ変わったらどうなるか
- どんな問題なら、この公式は使えないのか
まで考えてみます。
一つ覚えたことから、どこまで考え方を広げられるか。
ここを意識すると、「覚えるものを増やす」だけではない数学の勉強になります。
もう一度、最初の公式に戻ってみる
最初に選んだ公式に戻ります。
今度は、次の三つを何も見ずにやってみてください。
- 公式を書く
- どんなときに使うか説明する
- その公式を使う問題を一問解く
最初よりできることが増えていれば、その勉強には変化がありました。
まだ止まるところがあれば、そこが次に確認する場所です。
「公式が使えない」という一つの悩みでも、原因は同じとは限りません。
覚えていないのか。
意味がつながっていないのか。
使う場面を判断できないのか。
問題文から必要な情報を拾えていないのか。
実際に式を立てるところで止まるのか。
原因が違えば、次にやることも変わります。
覚えることを増やす前に、使えるところまで深くする
数学では、覚えることも必要です。
でも、覚えた数だけで「できる」が決まるわけではありません。
一つの公式について意味を考え、使える場面を探し、実際に使い、うまくいかなければ止まった場所を確認する。
そして、もう一度解いてみる。
覚える → 使う → 確認する → 考え直す → もう一度使う。
この繰り返しによって、一つの知識からできることを増やしていけます。
公式は覚えた。
それなのに問題では使えない。
そんなときは、もう一つ公式を覚える前に、今覚えている一つをどこまで使えるのか、確かめてみてください。

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